最近の日本、何かおかしくないですか?(その11)

3~4年前放映されたNHK土曜ドラマ「スロースタート」では引きこもりやニートの問題を取り上げています。心を閉ざした若者達は、皆、能面みたいな表情でうつろな眼をしています。自分の世界に閉じこもり、他人との交わりを拒んでいます。これで生きているっていえるでしょうか。小さい頃から他人と交じり合い、譲り合って生きて行く術を学び取る機会を奪われた子供には責任はありません。こんな環境を作り出した親たちに、今、反省と是正が必要なのではないでしょうか。 

櫻井氏はさらに続けて、

「愛情表現は日本経済の復興と共に、自然の流れの中で、お金や物を与えるという形で行なわれました。その結果、子供は人の幸せはお金や物で測ることができるということを実感するに至りました。お金や物は、人間の心を豊なものにしてくれる手段であるのに、いつのまにか、それ自体が目的となってしまいました。こうした問題が3世代かけてここまで来た道ならば、戻るのにも3世代かかります。正しい日本を取り戻すために、日本は息の長い子育てプロジェクトに取り組んでいかなければなりません」と述べています。

さて、皆さん。「利己主義がはびこる日本の若い世代」という結果を作ってしまった原因としての数々の誤解や判断ミスについて、長々と私が読みかじった文章のご紹介と私見を述べさせて頂きました。多くの方々がこの教育問題に関して危機感をお持ちであると思います。どうすれば個々の力を合わせて、親としてのあり方を問い直す大きな運動に繋げられるか皆さまのご意見を頂戴したいと思います。

最近の日本、何かおかしくないですか?(その10、「自由保育」の好き勝手)

櫻井氏はさらに、わが国が自由保育という考え方を良しとするようになった理由について考察しています。
1960年代から70年代に自由保育の考え方が欧米から入ってきました。それは戦前の価値観への反動が基調となった戦後の教育の中で熱烈に支持されていきました。しかし、その欧米諸国は、子供を善なる存在だと見なして自由にさせることは誤りであると気づき、過去20年強、一大方針転換をしたのです。そして、日本だけが、自由放任が良いという考え方でそのまま教育を行ってきました。この傾向に拍車をかけたのが少子化です。大事な一人っ子、もしくはふたりっこを育て、自分の子供のためには何でもしてあげるという親が増えてきました。子供のために望みをすべてかなえてやる。どんな学校にも入れてやって、個室も、パソコンも、テレビも子供専用のものを与える。こうして子供はこの世の中が自分の為に存在していると思うような環境に置かれてしまいます。子供は足らざることの不自由を体験することもなく、全く唯我独尊の価値観を身につけていきがちです。これでは見知らぬ人と折り合って、譲り合いながら暮らしていく知恵を身につけることなど、できないのです。謙虚になり、他人への優しさを実践していく賢さを身につけることなど及ばないのです。意図せずしてこんな環境を作り出したのが、いまの日本の豊さです。」と述べています。