最近の日本、何かおかしくないですか?(その18)

「社会保障と税の一体改革」の国民的議論は不可欠です。しかし、いつの時代も「お上から下される沙汰に悪いものはなかろう」と国民は「ひとごと」のように受け入れてきました。国民の代表が集まって議論するのが国会なのだから(悪いようにはしないだろう)と、他人事にさせないために、さらには制度が導入されてから低次元の批判ばかりを浴びた後期高齢者医療制度のようにしないために、国民に当事者意識を持って考えてもらえるよう、国は情報発信をもっと行う必要があるのではないでしょうか。
例えば、消費税を5%上げてもらえば、健康保険証を持たない保険料滞納者の医療費負担の肩代わりをしますよ、路上生活者を増やさないための社会のセーフティネットワークを厚くします。その代わり増え続ける年金をコントロールするため、一律3%カットさせて下さい、長期的にみてインフレ懸念もないこのデフレ時代に年金受給者が優遇されているという意見が多いので、今後も年金カットの議論はさせてください、消費税は10%からこういう間隔で、上げていかざるをえないですよね、などなど、議論の過程で国民に当事者意識を芽生えさせるための情報発信です。恩恵を受けられる人がいれば、必ずそれを支える為に我慢を強いられる人がいる。いいこといいことの情報発信ばかり選挙民に与えてきた政治家も反省すべきだし、国民にはそれを当事者として負担を分かち合う議論に参加することが求められるのではないでしょうか。孫子の時代に付け回しを残さないために、わずか50年前についついはじめた赤字国債による膨大な財政赤字を縮小するために、どこに配分し、誰が我慢をするのか、国民主権と国民の義務はコインの表裏の関係です。
サッチャーは英国史上最も不人気の首相と言われながらも、徹底した意思と実行力で11年間君臨し、英国を立て直しました。キャメロン党首も言っていたように、民に辛いことを強いるときこそ政治家主導の誠実で真摯な議論が望まれると思います。

最近の日本、何かおかしくないですか?(その17)

まずは、東北地方太平洋沖地震により被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
国会議員に限らず政治家は選挙民により選出されます。国民から集めたお金(主として税金)をいかに配分するか、一言でいえば政治はそういうものだと思います。セーフティネットとしての社会保障を厚くすることは、いつの時代でも選挙民に歓迎されることは間違いありません。しかし、社会保障をより厚くすることは、より多くの税金を集めることが前提です。選挙民に阿って耳障りのいいことばかり言ってきた、選挙民に増税のお願いをすることから逃げてきた歴代の政治家により国や地方の借入金残高は900兆円を突破しています。「社会保障と税の一体改革」はまさに今後の日本に負担を先送りさせないための待ったなしの課題です。社会保障の財源は赤字国債で賄われており、財政赤字を放っておく訳にはいきません。どのように歳出削減をするのか、言いかえれば、何が無駄なのか、弱者救済のために何を削るのか、その一方で福祉の中にも無駄はないのか、消費税はどのようなシナリオで上げていくのか。国民的議論の必要な協議の場に、与野党を問わず国民に選ばれた、国民の代表である議員は正々堂々速やかに着くことが必要なのではないでしょうか。管政権も現在の状況では「社会保障と税の一体改革」の結論を得たいとする本年6月を迎えられるか定かではありません。一気に総選挙となり、政権が交代することも可能性としては大きいと考えられます。わが国の行く末を左右する大事な議論です。ころころ変わる政権党や首相に影響を受けることは避けなければなりません。したがって、この議論を取り仕切る委員会は常設委員会としてしっかりと継続的に活動して頂きたいと願っています。
“ゆでガエルの危機”に例えるのはどうかとの思いがありますが、わが国は危機が来てから右往左往することが多すぎる気がします。豊かなうちに変えないと体力が持ちません。

最近の日本、何かおかしくないですか?(その16)

 たちあがれ日本の共同代表を務めていた与謝野馨議員が民主党政権から連立政権参加の打診を受け、党内で孤立。2011年1月13日平沼代表に離党届を提出後、翌日、管再改造内閣にて経済財政政策担当大臣に就任しました。「自分には時間がない」、「最後のご奉公がしたい」とのコメントを発しました。この民主党政権参加に関しては、選挙区の東京1区で民主党の海江田万里氏に敗れ、比例代表で自民党議員として復活当選した経緯やたちあがれ日本の結党時の反党行為のため党より除名処分されていたこともあり、自民党や他の野党から強く批判されたのは記憶に新しいと思います。マスコミや民間人からも非難の嵐でした。
しかし、私は与謝野さんの「社会保障と税の一体改革」にかける情熱には一種の執念に近いものを感じ、心からの応援を送りたいと思います。管総理が財政破綻のマニフェストを改め、超高齢化・少子化を乗り切る頭脳として指名した与謝野氏はこれを意気に感じ、予想される批判をものともせず、30数年に及ぶ政治家人生の最後の仕事に集中しようとされている姿と思うからです。海江田さんに選挙区で3回も敗れ、2007年には喉頭癌で入院し、今後選挙で勝ちあがる自信もなければ、病身を押して政治家を続ける気力もない、そんなことを感じてせめてバッジを付けている間に自分の知識と経験をすべて残したいとお考えになったうえでの行動であると拝察しています。政治家としての勇気に心打たれる思いをされたのは私だけではないと思います。