「説明は横文字ばかりで理解できなかった・・・群馬大学第二外科報道より」その11

定期購読している医療タイムス本年6月1日号に掲載されていた記事を紹介いたします。
医療専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピア株式会社は、群馬や千葉の医慮機関で腹腔鏡手術に関する問題が相次いだことを受け、会員医師に対して「難易度の高い腹腔鏡手術をはじめとする先進的な医療の現状や、医師の意識について」のアンケートを実施し、以下に述べる結果を取りまとめています。
Q1 群馬大学病院や千葉がんセンターの問題と、同じような事例の経験はありますか、の問いに対し、医師全体の約4割、外科医の半数以上が、「問題が起きた、または危機感を感じたことがある」と回答しています。続けて、
Q2 こうした問題を防ぐことができない要因になっているものは、の問いに対して、半数以上の医師が「専門が細かく分かれているため、他科の診療方法がわかりにくい」と回答しています。続けて、
Q3 「患者の安全」と「医療の進歩」どちらが重要か、の問いに対し、6割以上の医師が「患者の安全」が重要と回答しています。「患者の安全」が重要とする回答の一部を挙げると、「腹腔鏡は低侵襲ということで行われているので、それで危険性が高まるなら本末転倒です」、という意見や「医療の進歩も患者の安全のためだから」という意見がありました。
一方、「医療の進歩」が重要とする意見として、「安全のみを優先していては進歩がない」という意見や、「将来多くの人を救える」という意見がありました。さらに、
Q4 今後の「インフォームドコンセント」のあり方についての質問には、「繰り返し説明しても、お任せします的な回答も多く、患者サイドが良く理解されていない場合も多い。重ねて説明には務めるが、日本には欧米と違い自己判断での決断に慣れていない事も実際の臨床現場の悩みであり、今後さらに時間がかかるものと考えます」という回答がありました。私も個人的に全く同じ考えです。
 説明支援ナースの育成、パンフレットを用いた説明・納得の得られるまでの受け答え、病院内に設置した患者さん用図書室、これらのすべては患者さんサイドがこれから受けようとする手術や検査がもたらす効果や恩恵を理解すると同時に、不確実性の代表的存在である医療手技の合併症の種類とその頻度、それが起こった時の対処方法を理解し、最終的に自己判断する、その目的のために十数年をかけて努力して参りました。医療の消費者である患者さんが、“賢く”必要とする医療を選択できるような時代の幕開けになれば幸いです。

新シリーズ構想の為、しばらく時間(夏休み)をいただきます。ご了承ください。