お勉強はもう苦痛ではないですか? -慢性期医療へのお誘い- (その6)

福岡に「実践老年病研究会」という高齢者医療に明日から役に立つエッセンスを討論する研究会があります。平成14年に始まり、今年4月に第19回目を迎えましたが、担当のMRさんに講演記録を見せていただいたところでは、取り上げられたテーマはやはり前回(その5)列記したものがその中心でした。会では複数の講師が講演の後、質問に対しそれぞれの経験から答えていくというやり方が多かったそうです。未成熟な分野であるだけに偏りのない知見を複数の講師が提供するという方式をとっておられるようです。福岡では実に多くの研究会が開催されますが、この会は自発的に参加される医師や看護師が多く、その数は毎回150人に達する勢いだそうです。いかにこの分野のスキルを学びとる機会に医療人が飢えていたかを物語っていると思います。
 最近、在宅医療を評価する考え方から、高齢者の在宅医療を支える医師の教育の必要性に注目が集まりつつあります。後期高齢者医療制度の後期高齢者診療料の算定に当たっては高齢者医療の研修受講が義務付けられています。日本慢性期医療協会は医師・看護師向けの今年で3回目の慢性期医療認定講座をこの夏開催いたします。プログラムはリハビリ部門を除いてやはり同様のテーマでした。定員は200名だそうですが、毎回申込が多くすぐに定員に達するそうです。
 医師になるには国家試験をパスしなければならず、医学生は懸命に勉強します。その量は他の国家資格と比べても格段に多く、難度も相当に高いものです。しかしながら、医学部の教育の中に高齢者医療、老年病を対象とした講座は極めて稀で、大学付属病院に療養病床がない現状では、輩出される医師は急性期医療対象者のみです。医師になるのに100勉強が必要であるのなら、この高齢者医療に自信を持って取り組むにはあと10勉強をすれば足りると思うのです。いきなり療養病棟での勤務を始めても戸惑わないレベルまであと一割のレベルアップで事足りるわけです。ゆっくりと、働きながらでも学べるシステムがあればこれが可能になります。