お勉強はもう苦痛ではないですか? -慢性期医療へのお誘い- (その10)

印南氏が指摘されているように、田植えや稲刈り時の家庭内の介護力不足に基づく高齢者の長期入院、北国の越冬入院といった長いものから、退院日を大安の日に限定する六曜入院継続、病院の都合による空床回避入院継続、民間医療保険給付のための保険受給入院継続など、社会的入院は細かく言えば数限りなく見られます。問題はそれによってもたらされる廃用による身体機能の低下で、本人が望まない入院が本人の意向が無視されたまま継続されることです。社会的入院をなくせば一般病床で約17万床、療養病床で約15万床が不要になり、約一兆五千億円弱が適正化されると述べておられます。
私見ですが、高齢者に施行する手術など侵襲的医療は本来社会復帰を前提として行われるものですので、最終的に社会復帰が確認されたら追加して医療機関に収入があるような制度をとれないものかと考えます。前述のケースでは大腿骨頚部骨折の手術をして医療機関に対価としての診療報酬が支払われたあと、在宅復帰して一定期間に医療・介護費用が発生しなければ手術をした病院にボーナスが入るようにしてほしいと思うのです。そうなれば、病院は在宅復帰を最優先に早期にリハビリを行ってくれると思うからです。医師の目を担当の臓器から患者さんの全身管理へと向けさせるインセンティブが生じると思います。ボーナスは1000点(一万円)でも十分に効果が期待できると思いませんか。在院日数の短縮でその数十倍も医療費は節約できるはずですし、適正化される1.5兆円を引き合いに医療機関からボーナスの額を交渉する、健康を回復できた笑顔の対価を求める、そういう仕組み作りを医療関係者が提案し、現実化していくことが大切だと思います。