在宅医養成の試み(その13)

 続いて体験者の声の一部を紹介させて頂きます。
     「自宅は世界一の特別室」
 病院を退院して「在宅医療」を選んだ主人が亡くなるまでの6ヵ月間は、お互いに好きなことを言って、かばいあう楽しい日々でした。亡くなる2週間前、親戚が10人ほど見舞いに来てくれたとき、主人はコーヒーを自分でたててふるまい、「病人だってことを忘れていたよ」とニッコリ笑いました。私にはその笑顔がなによりの贈り物。一生忘れることができません。
 「在宅医療」を選んでよかったことは、病室の人に気を使わなくてすむこと、好きな時間にお風呂に入れたこと、気がねなくトイレに行けたこと、娘や孫と一緒に賑やかに食事ができたこと、急用のときは24時間、医師に連絡がとれたこと。
 自宅は世界一の特別室でした。
と、ありました。
 人生の最期の大切な日々を同室の人に気がねしたり、お風呂やトイレまで思うままにならない毎日にすることが、ご本人にとって幸せなことでしょうか。