「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会四百時間の証言より」が教えてくれること(その13 続・それで勝てると思っていた)

ハワイで撃ち漏らした敵空母機動部隊の位置がつかめず、その幻影におびえながらも、日本海軍の前線部隊である南雲機動部隊は、ミッドウェー基地を叩く陸用爆弾を攻撃機に搭載し、ミッドウェー島を目指します。ミッドウェー島から飛んでくる敵の飛行機はすごく航続距離のある飛行機ですから、わが機動部隊はどこを走っても捕捉されてしまいます。(半藤一利氏)
敵からはわが艦隊の位置は正確に捕捉されているにも拘わらず、敵の高速機動部隊の位置は分らないまま、島の陸上基地から飛来する敵攻撃機の撃退のためにゼロ戦を中心とする戦闘機隊を艦隊の上空制圧目的に常に配備しなければならなかった事情や、索敵を出すと攻撃用の飛行機の数が減るから出したくない(半藤一利氏)
という作戦面からの制約を
鑑みても、実際はたった一度しか敵艦隊の捕捉のための索敵機を出していなかったのは,刻々と変化する情報を得たほうが戦局を有利に展開できるという原則からみても大きな失敗といわざるを得ません。
 もし、「大和」、「武蔵」をはじめとする強力な戦艦部隊が、南雲機動部隊と密接な連携作戦をとっていたら、戦艦部隊には索敵に熟練したパイロットが乗る多くの索敵機とそれを管理するそれぞれの参謀が役割分担を果たせば、日本海軍は正確な敵の位置を把握することができました。そして、目的とする島の防御体制の破壊に戦艦群の主砲が使えていたら、やはり日本は負けるべくして、負けたのかもしれません。