当院薬剤部では、薬剤師にかかる調剤作業の負担軽減や効率化、正確性の向上のため、積極的に機械を導入しています。
2022.11から調剤支援システム Sphere(スフィア)を導入しました。
Sphereは処方・注射調剤システム、持参薬鑑別システム、服薬指導システム、機械制御システムが1つに統合されています。従来では各システムが独立していたために作業が煩雑でした。しかしSphereを導入したことで複数あったアプリケーションを同時に操作することが可能となり、より効率的に仕事が出来るようになりました。
さらに薬剤のピッキング、錠剤分包機のカセット充填時はモバイル端末を利用することで処方せん等のバーコード、錠剤分包機のカセットバーコードを照合し、より正確に調剤業務が行えます。尚、照合の履歴は保存され、「誰が、いつ、どの患者に、何の薬品を」チェックしたかを追跡できます。
他にもSphereには処方チェック機能と最終監査支援機能があります。処方チェック機能は処方された内服薬、注射薬に対して薬歴を元に重複投与、過量投与、併用禁忌、配合禁忌などに該当する項目があれば処方チェックシートが発行される機能のことです。さらにあらかじめ患者さんの禁忌情報などを個別に登録しておくことで、該当する薬やその類薬が処方された際にも処方チェックシートが発行されます。最終監査支援機能は監査時に処方せんに表記されているバーコードを読み込むことで、使用しているタブレット端末に患者さんの薬歴、検査値を表示させる機能のことです。この処方チェック機能と最終監査支援機能を利用することで患者さんにとってより安心安全な処方監査が実現できています。
Sphereは運用に合わせてどの機能をどのように利用するかを自由に設計できるため、今後、業務に変化が生じたとしてもその変化に対応できます。
当院の入院調剤は、多数の薬を服用している高齢者が多いため、院内での飲み忘れや飲み間違いの防止と看護師を手助けするために、1回で服用する錠数毎に分包する「一包化調剤」を行っています。包装毎に患者様のお名前や調剤時間等の情報などを印字して、より確かな服用を促しています。
「1包化調剤」は服用時に便利な反面、調剤業務においては、全包装薬を確認するためにヒューマンエラーが起こりやすく、時間がかかることが問題です。また最終監査を行う薬剤師には高い技術と習熟度が必要となります。
今回、これらの問題を軽減するために導入したのが、錠剤監査支援システム「MDM-1」(TOSHO製)です。このシステムは一包化した錠剤を一包毎にカメラ撮影し、薬剤の種類と数を判別すると同時に割れや欠けなど破損した錠剤をチェックして記録に残します。不適合とされた包装は監査画面で一覧表示されて再確認をすることで過誤を検出します。万が一の場合も証拠が残ることで調剤過誤の対策として有効です。
このシステム導入により、安心、安全な調剤を実現出来るとともに、業務の効率化と正確性を担保しています。さらに最終監査を行う薬剤師への負担を軽減する効果や薬剤師の習熟度に影響されない均質な1包化調剤を行うことができています。
当院では院内調剤用、老人保健施設調剤用の2台の全自動錠剤分包機を導入しています。各機器、スライドキャビネットの中に薬剤が充填されたローターカセットが入っており、処方に応じて分包されます。半錠調剤等、カセットが設置されていないものについては自動的にコンベアが開き、薬品セットタイミングを知らせてくれます。平成25年6月に導入した「Xana-2720EU」は、長崎県内でも数台しか導入されていない最新式の自動錠剤分包機です。
この機械を用いることで作業の効率化が図れるだけでなく、錠剤カセットの誤挿入防止機能やLEDガイド付きのコンベアといった機能により、安全性も向上します。また、様々な字体やイラスト、バーコード等と印字のバリエーションが豊富です。これらの機能を活用し、更なる正確な調剤や配薬、服薬チェックにつなげることができます。
患者ID や用法用量等を入力後、薬品バーコードを読み取り、薬品を天秤で秤量して調剤レシートを印刷します。音声機能付きで、秤量する薬品名を読み上げ、一日の最大量オーバーの場合は警告音を発する等、「目」と「耳」で調剤過誤を防止します。また、操作が簡便で使いやすい設計となっています。
右上のパソコンにて秤量した処方データを入力し、分包します。2つの円盤を活用して散剤の不均等分割分包も可能です。入力はタッチパネル式で、散剤・錠剤の多彩な組み合わせや、最大8分割/日までの分包に対応できます。
オーダーされた注射処方について、注射ラベルが自動的に印刷されます。ラベルには患者氏名およびID、病棟、施行日、薬品名、投与経路や指示等が印字されます。また、ラベルには各処方のバーコードが印字され、病棟にてバーコードを読み取らせることで施行のチェックができるようになっています。
この機械は2013年度に新しく導入されました。装置内で縦方向と横方向の回転を行いながら、容器内の材料を均一に効率よく攪拌します。この機械を使うことで、人の手で混合した場合と比べて、まるで既製品のように驚くほどなめらかに仕上げることができます。容量も少量から最大100g まで対応でき、短時間でムラなく混合できます。また、操作が簡単で使いやすい、誰が使用しても同じ品質の混合調剤が出来る、といった利点もあります。