優しく支え合う、人と街を築く
【ユマニチュード】

 長﨑県の高齢化比率は、2020年には32.6%となり、認知症高齢者も顕著に増加しています。「ユマニチュード」は、認知症患者さんとのコミュニケーション技術であり、「見る・話す・触れる・立つ」を4つの柱として150もの技術があります。特に「見る・話す・触れる」は感覚器官である「視覚・聴覚・触覚」から介護者の優しさや想いを伝えます。
 認知症の重度の方は、家族の名前は忘れても優しい顔・怖い顔、優しい声・どなり声など快刺激か不快刺激かは理解されています。快刺激を繰り返す事で、病気の進行や家族関係にも良い循環を生み出します。
 白十字会には、ユマニチュードを教えるインストラクターが2名在籍し、全職員の技術の修得に向けた取り組みを行っています。病院は、患者さんにとって決して心地の良い環境ではありません。認知症の方に安心して治療を受け退院していただくためには、全職員がユマニチュード技術を用いて患者さんとの良好な関係を築く事が必要となります。入院中は、家族の皆さんに映像や書籍で技術の説明を行っています。退院後も外来に「認知症に悩む家族の為の相談外来」を設置するなど継続した支援も行っています。
 昨年は法人の介護職員が、道に迷って家に帰れない認知症の方を発見し、ユマニチュード技術を用いて無事に家に案内することができ警察署から感謝状をいただきました。認知症の方に関わる皆さまが、認知症の正しい理解とコミュニケーション技術を身に付ける事で、優しく支え合う人と街を築いていけると思っています。
平成31年1月1日 長崎新聞 Top Interview 掲載記事より

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