ご利用者 80代 女性/サポート体制 看護師 NS/疾患名 食道がん
食道がんの手術後に退院、本人の希望 通り食事がとれるようになったケース
ご依頼までの状況
心窩部痛(しんかぶつう)、食欲低下があり受診したところ、食道がんとの診断を受けすぐに手術施行となった。手術後、食事摂取がなかなか進まず、点滴管理をしていた。
本人が「どうしても自宅に帰りたい」 という思いが強く、ご本人、ご家族の希望により、訪問看護を介入することで退院となった。
ご本人の希望
吐き気や飲み込みにくさがあり、食事がとれず情けなく思 うことがある。みんなに迷惑をかけて申し訳なく思っている。 自宅に戻って、おいしいものを食べて元気になりたい。転ばないように気を付けたい。
ご家族の希望
ご主人:
家に帰れば、元気になるはず。食事がとれないと、体力がつかないので心配している。自宅に戻って好きなものを食べたら、きっと元気になるはず。自分ができることは、なんでもしてあげたいと思っている。
支援内容
NS:
退院直後は、食事摂取が難しく点滴管理をしていました。元々血管確保が難しかったことと点滴が長期間となったため、ご本人・ご家族と相談し、ポートを挿入し、高カロリー輸液の持続投与で栄養管理をすることになりました。食べられなくて辛いとのことでしたが、「同じ手術をした人は、ほとんどの人が3ヶ月程度は喉のつかえなどで食事摂取量が減る」ことを説明し、その他、術後の一般的な経過をその都度ご本人とご家族に説明し、少しでも不安が軽減するように関わっていきました。
また、毎日訪問する中で看護師間の情報共有や主治医とも密に連絡し、連携をとることでその日の体調に合わせたケアを実施しました。
身体状況・精神面の変化
退院後しばらくしてから、食事摂取量が増加しました。好きなものも少しずつ食べられるようになり、「もう食べれないかと思った」と笑顔もみられ、安心したご様子でした。 好きだったお風呂も入浴介助が可能になりました。
内服管理や食事介助はご主人がやりがいと感じているため、あえて細かく指導せずにやり方を見て必要に応じて助言しています。
ご利用者・ご家族の声
本人の笑顔が増えたように感じます。「食べられるように なってよかった」「今日は少ししんどいけど、お風呂は大好きだから入りたい」などよく話してくれるようになりました。
本人の病気だけでなく、家族には介護相談や指導などもさせていただきました。介護疲れを懸念して、持続点滴も休めるようにとのことでしたが、「私の仕事」と思い継続して行 ないました。
ご利用者 80代 女性/サポート体制 看護師 NS/疾患名 狭心症
近隣に身寄りがない老々介護のご夫婦に、精神面でもサポートできたケース
ご依頼までの状況
認知症のご主人と二人暮らし。 近隣に親しい知人や身寄りもなく、 これまでご主人とお互いに協力しあって生活してきた。しかし、高齢に加えて持病もあり、ADL※1・IADL※2ともに不安要素が増えつつあり、身体面・ 生活面にサポートが必要になってきたために、訪問看護の開始となった。

(※1)ADL(日常生活動作) … 日常生活を送るために必要な動作のことで、食事、移動、排泄、 入浴、衣服の着脱、歩行などを指す。
(※2)IADL(手段的日常生活動作) … 日常生活を送るために必要な動作のうち、ADLより複雑な動作を指す。例えば、買い物、洗濯、服薬管理、交通機関の利用、電話の応対など。
ご本人の希望
家に人が来ることには気兼ねしてしまう。まだ自分でできることは頑張りたい。
ご家族の希望
近隣に身寄りがなく、同居の夫は認知症である。誰に相談してよいのか分からないので、今後のことも相談したい。
支援内容
NS:
【疾患】
治療中の疾患について通院状況の把握をしています。重度の難聴もあり、受診時の医師との疎通不安があるため、必要に応じて医師と連絡を取り合っています。
【生活】
食事、掃除、買い物などの生活面に問題がないかを常に把握し、 サポートが必要な部分については、 ケアマネージャーへの報告や相談を密にしています。
身体状況・精神面の変化
受診に同行して、症状やご本人の意向を医師に伝えています。自宅でご自身が対応できることを医師に確認し、本人に指導しています。根本的に治療することはできないということですが、ご本人は納得して受け入れていらっしゃるように感じられます。ご主人との生活、今後への不安な気持ちなど 少しずつ話してくださるので寄り添うように努めています。
ご利用者・ご家族の声
私の体もだんだん弱くなってきたので、「主人一人で置いていけないし、どこか施設でも一緒に入所しないといけないかしら」と今後の相談もしています。
医療的ケア児の痙攣、発熱予防
~発熱時および痙攣発作時の薬剤使用指示~
Yちゃん(生後6カ月)は重症新生児仮死で生まれ、痙攣発作を起こしやすい医療的ケア児で、周産期医療センターから退院するにあたり病状変化に対応する医療支援として、医療機関医師、訪問看護師、調剤薬局の薬剤師、救急隊員と連携体制を構築した。また、市中心部のZ訪問看護ステーションのサポートによりYちゃんと家族の在宅療養を支援している。
予測される病状変化
■ 退院前のYちゃんの状態と訪問看護師のアセスメント
Yちゃんは、啼泣すると痙攣発作を起こしやすく、消化不良による胃食道逆流症や嘔吐があり、気管切開していないため喀痰喀出困難により上気道感染・肺炎のリスクが高い状態にある。退院時カンファレンスで、在宅療養中に予測される病状変化(痙攣・発熱)への対応方法や受診の目安について検討し、チェックリストを作成して、母親や在宅支援を行う多職種間で共有した。
看護師のアセスメントと具体的な看護の提供
■ 退院後のYちゃんの状況と看護の提供退院後、D訪問看護ステーションは週4回の訪問看護、Z訪問看護ステーションは週2回(内、1回は理学療法士訪問)の訪問看護とサポートを行った。気温計や湿度計を準備して、気温(24~26℃)や湿度(50~60%)を一定に保つよう環境整備を行い、母親が行う処置やケアの支援、相談に対応することで、Yちゃんは痙攣発作や緊急搬送されることなく、安定して育っている
訪問看護師が行った療養上の世話の例
●退院後の母親のケア確認と相談対応訪問看護ステーション間の連携体制
保健師相談支援専門員医療的ケア児コーディネーター救急隊(消防署)情報共有・連携退院後に母親が日々行うケアは、経管栄養チューブからのミルクや薬の注入、吸引、沐浴(風呂)、排泄の世話。すべて周産期医療センターで指導を受けたが、自宅は病院と環境が違い母親一人で行うことになるため、訪問看護の初回訪問で母親が行う処置やケアの手順を確認した。また、掛物はどのような素材が良いか、環境整備はどうしたらよいか等、母親の相談に細やかに対応したことで、退院時には不安に思っていた母親も落ち着いてYちゃんに対応できている。

●入浴への対応と母親の自立への支援Yちゃんは体温調節が未熟なため、うつ熱で体温が上昇することがあった。入浴前に38℃程度の体温であっても着衣や掛物で調整して下がり、活気があって他に問題がなければ、うつ熱と判断して入浴は実施した。退院当初は訪問看護師と母親で入浴させていたが、母親が徐々に慣れ、父親と二人で、または母親一人で入浴させることが可能になった
心不全悪化の予防
~体重増加に対応する利尿剤服用の指示~
Uさん90歳代の男性、一人暮らしで認知症があり家族が受診介助や買い物などの支援をしている。心不全で入退院を繰り返しており、訪問看護ステーションが週1回訪問し体重測定をして体重の増減を確認し、心不全が悪化しないように支援をしている。同時に薬剤師やデイサービス職員とも心不全手帳を連携して、体重測定や薬の飲み忘れを回避することで心不全悪化による入院を予防している。
予測される病状変化
■ 訪問時のUさんの状態と訪問看護師のアセスメント
訪問時、浮腫が軽度みられ呼吸音が減弱していた。自覚症状はなかったが心不全悪化や胸水貯留の可能性を考え病院受診を提案。翌日受診したところ胸水が貯留していることがわかり、利尿剤投与を受けることで入院することなく症状の軽減を図ることができた。
看護師のアセスメントと具体的な看護の提供
■ 定期的な利尿剤服用後のUさんの状況と看護の提供
水分制限は800mLと本人に伝えているが、高齢で認知症があるため、どこまで守られているかは不明確。週1回の訪問看護で体重測定をして心不全徴候を把握し「体重・血圧・息切れ・むくみ・水分摂取量」を心不全手帳に記載するようにした。また、家族の付き添いで定期受診する際には心不全手帳を持参し、関係機関で連携することでUさんの在宅生活を支援した
訪問看護師が行った療養上の世話の例
●塩分摂取や食事に対する指導
Uさんは、調子が良い時は自身で買物に出かけ好きな食品を食べ、飲酒していた。訪問時に家にある調味料などを確認して「より塩分の少ない、こちらを使った方がむくみも増えずに楽に動くことができるし体調も良くなる」と伝えたり配食サービスの利用を勧めたりして、Uさんの自由に暮らしたいという希望に沿う形で栄養指導を行った。

●安全に暮らせる日常生活への支援
入院した際は認知症によるせん妄があったということだが、物忘れなどは年齢相応と判断できた。ただし、高齢の一人暮らしであるため日常生活に危険がないよう、室内とUさんの行動範囲や生活導線を確認して、段差解消や手すりの設置、火災警報器や緊急通報システムの導入などをケアマネジャーに相談した。その結果、転倒やけがをすることなく安全に生活できている

一般社団法人 全国訪問看護事業協会より