不整脈から心不全まで
副院長 診療部長 | 木﨑 嘉久 |
部長 | 中尾 功二郎 |
不整脈領域における植込み型医療機器
近年、不整脈をお持ちの患者さんに対して、自動的に診断や治療を行ってくれるさまざまな植込み型医療機器が使用できるようなってきています。
もっとも代表的なものは、ペースメーカです。
脈が遅くなったり、一過性に止まったりすることによって、心不全症状(息切れ、倦怠感)や脳虚血症状(めまい、失神)でお困りの方は植え込みの対象となります。
具体的な病名としては、洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動などがあります。
また、速やかな電気ショック治療が必要な致死的不整脈のある患者さんには、植込み型除細動器(ICD)が必要になります。
具体的な病名としては、心室頻拍、心室細動などがあります。
さらに、不整脈とは直接の関係はありませんが、ある条件をみたした心不全患者さんは、心臓再同期療法(CRT)の適応となります。
これは、ペースメーカによって心臓の動きを協調させて心不全の治療を行う方法です。
先ほどのICDと組み合わせた、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)といわれる医療機器もあります。
心臓の状況をしっかり診てもらい、最適な医療機器を選択することが重要です。
一方、REVEALといわれる植込み型医療機器も使用可能となりました。
これは、不整脈によると思われるめまいや失神があるけれども、症状の出現した時の心電図が記録できておらず、確定診断に至らない方に有効な植込み型の心電図記録器です。
最長3年間、不整脈検出が可能ですので、確定診断に至る可能性が飛躍的に高くなります。
尚、さまざま植込み型医療機器を紹介しましたが、いずれも局所麻酔下で、前胸部皮下に植込むことが可能です。
ただし植込み後は、MRI対応機種以外はMRI検査が原則不可能なこと、携帯電話は本体から15cm離すことも留意する必要があります。
ペースメーカを筆頭に、さまざまな植込み型医療機器を装着された患者さんを対象としています。
具体的には、作動状態、治療歴、不整脈の発生状況、電池寿命、不具合の有無などを通常3-6か月ごとにチェックしています。