放射線技術部
放射線技術部では患者さんが安心して検査を受けていただけるよう、思いやりのこころと被曝低減につとめています。
広報誌
主な医療装置
検査と治療
一般撮影検査(FPD)
一般撮影検査(FPD) FUJIFILM
一般撮影室(レントゲンを撮る部屋)は全部で3室あります。各撮影室ではSHIMADZU社製のX線発生装置、FPDシステムはFUJIFILM社製を使用しています。
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FPDは、従来のフィルムに代わるもので低被ばくかつ高画質な画像を得ることができます。また検査時間も大幅に短縮でき、スムーズな検査が可能となります。
レントゲン画像の撮影方法 -CR方式とFPD方式-
CR方式
撮影用の板を撮影部位にあて、放射線をあてた後、撮影した板を専用の読み取り装置いて読み取ることで表示されます。
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FPD方式
撮影後の板(FPD:フラットパネル)を撮影部位に敷き、放射線を当てた直後にモニタに撮影画像が表示されます。
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当院では、2022年8月より一般撮影室3部屋をすべてFPD方式に変更しました。これにより、検査効率が向上し患者様の待ち時間短縮にも貢献しています。
また、FPDは放射線に反応する性能が高く、CR方式よりも少ない放射線の量で撮影を行うことができるため、患者さんの被ばく線量を低減することも可能となります。
ポータブル装置
当院では、2020年12月にポータブル撮影装置“CALNEO AQRO”を導入しました。従来使用していたポータブル装置はCR方式の装置であったため、レントゲン撮影を行ってから画像を確認するまでに最短でも5~10分ほどの時間を要していました。この装置はFPD方式の装置であるため、撮影した直後に画像を確認することができます。
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救急外来での撮影など、医師が撮影後すぐに画像を確認したい場合に特に役立ちます。また、非常に軽量コンパクトで操作性がよいため、スペースの限られた病室内での撮影時もスムーズに素早く行うことができます。
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FPD型透視装置
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フラットパネル型透視装置 <島津メディカルシステムズ SONIALVISION safireⅡ>
胃透視検査は造影剤(バリウム)を200cc飲み、X線を使って食道・胃・十二指腸を調べる検査です。胃の形・大きさ、粘膜の状態(ポリープ・潰瘍・ガン)などが分かります。
新しく導入したフラットパネルディテクタ型と従来の装置を比較してみると①画質がきれい、②歪みがない、③胃・腸からのガスの影響が少ない、④被ばく線量が少ない、などが上げられ、高い診断能を誇ります。
第2透視室 SONIALVISION G4 LX edition:島津製作所
2020年2月に装置の更新を行いました。消化管検査、内視鏡手技、嚥下撮影などに限らず、従来は専用装置で行っていた泌尿器科、整形外科領域における多様な検査・処置についても実施することができるX線透視撮影システムです。また、整形領域である全長撮影のアプリケーションを搭載しています。
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○整形外科領域(長尺撮影:SLOT Advance)
下肢や椎位全体を撮影する際、X線をスリット上に絞り、映像系を平行移動させながら画像を収集し、得られた画像を自動的につなぎ合わせて1枚の長尺画像を再構成する「SLOT Advance」に対応し、従来10数分かかっていた検査も数分で撮影が可能となりました。
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骨密度検査
骨密度測定装置<HOLOGIC HORIZON Wi>
2024年1月 骨密度装置を更新いたしました!
骨密度測定とは、X線とコンピューターを使い骨塩量(主にカルシウム)を調べる検査です。
当院では検査精度が一番良いとされるDXA法を採用し、検査を行っています。
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従来装置との画質の比較
従来装置と比較すると、画質がより鮮明となり画像解析をさらに正確に行うことができます。
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TBS-iNsight(海綿骨構造指標ソフトウェア)
TBSとは、骨の構造を評価する指標です。骨折のリスクには骨密度だけではなく骨質(TBS)も危険因子の1つとされており、骨密度+骨質(TBS)にて評価を行います。当院では、骨密度測定装置で取得した画像情報から「骨質」の状態がわかるソフトウェアを導入しています。
CT装置
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CT装置<Philips社製 IQon Spectral CT>
CT検査はX線を使って身体の輪切り(断層)の写真を撮影し、コンピューターで画像を作ります。当院では最新式の2層検出器スペクトラルCTが2020年8月から稼働し、従来のCTでは得られなかった画像を提供しています。
2層検出器スペクトラルCTとは…
光に様々な波長(色)があるように、X線にも様々な波長があります。従来のCTは波長の区別ができませんでしたが、2層検出器スペクトラルCTでは波長を区別することで、一度の撮影で様々な画像を取得することができます。このようにして得られた画像をスペクトラル画像といい、患者さんの症状や病変に合わせて診断に適した画像を提供しています。
2層検出器スペクトラルCTのメリット
- 通常画像とスペクトラル画像の同時取得が可能です。
- 低エネルギー仮想単色X線画像を用いることで造影効果の高い画像が得られます。
- 高い造影効果により従来CTでは検出が難しかった早期肝臓がんや小さな病変の検出率を向上させることができます。
- 腎機能障害のある患者さんには少量の造影剤で従来のCTと同等の造影効果が得られます。
- 従来のCTでは写らないX線陰性胆石の検出が可能です。
- カルシウム抑制画像を用いることで、脊椎の圧迫骨折が新しいものなのか、古いものか判断できます。
- 画像の骨成分を除去することで、従来のCTでは分かりにくかった頭蓋骨に接する脳出血や、微細な骨内部の変性や浮腫の状態を分かりやすく描出可能です。
- 造影剤の成分を反映した画像によって、肺塞栓や腸閉塞の診断など、血流量が低下した領域を分かりやすく描出できます。
スペクトラル画像
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早期肝臓がん
低エネルギー画像を用いることで造影効果が上昇し、小さな病変までわかりやすく描出します。
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肺塞栓症
ヨード画像(造影剤成分強調)
造影剤の成分を反映した画像をカラー表示にすることで、血流量が低下した領域を明瞭に描出できます。
胆石
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通常画像
(120kVp)
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低エネルギー画像
(40keV)
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実効原子番号画像
従来CTでは、胆石の成分(ビリスコピン・コレステロールなど)によっては描出ができませんでしたが、低エネルギー画像を用いることでコントラストが向上し描出できるようになりました。また、実効原子番号画像によって成分の違いを明瞭に描出できます。
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骨折
骨成分を除去したカルシウム抑制画像によって骨内の浮腫を描出し、微細な骨折や変性の診断に役立つ画像を提供できます。
3.0T MRI装置
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3.0T MRI装置< PHILIPS INGENIA 3.0T>
当院では2台目となるMRI装置、オランダフィリップス社製の最新式の3.0テスラ装置を平成24年12月に導入しました。3.0テスラ装置の特徴として、画像の元となる人体からの信号を得る力が1.5テスラ装置と比較すると3.0テスラ装置では2倍になるため、薄い厚さで細かい部分まで観察できるようになりました。また、磁場の強さを利用して、脳神経線維撮像(MRトラクトグラフィ)の走行や脳機能画像(ファンクショナルMRI)さらに組織に含まれている成分を観察するMRスペクトログラフィなど画期的な機能も備えています。
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3.0TMRI
矢印部の細かい血管が1.5TMRIよりきれいに描出されています。
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1.5TMRI
MRA(MRアンギオグラフィー)
3.0TMRIでは、1.5TMRIより細い血管まで描出できるようになりました。
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MRトラクトグラフィー(神経線維画像)
トラクトグラフィーというMRIの撮影方法では、運動・言語機能の神経線維を描出して、腫瘍などの病変との位置関係を示すことができます。
1.5T MRI検査
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1.5TMRI検査<PHILIPS GYROSCAN NT-INTERA 1.5T>
MRI検査は人体に無害な磁気と電波を使って画像を撮影する検査です。X線による被ばくは全くなく、患者さんの身体の位置を変えなくてもあらゆる角度から撮影することができます。
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新装置の特徴
- 特長1
“完全”デジタルで更なる高精細画像検査を実現 - 特長2
広い検査空間で快適な検査が可能 - 特長3
専用トローリでストレスフリー
当院のMRI装置に高速撮像技術であるCS(圧縮センシング)が導入されました
Compressed SENSE:CS(圧縮センシング)とは、JPEGのような「必要ない情報を間引く」画像圧縮の原理を応用した技術で、ランダムにアンダーサンプリングされたデータから残りのデータを推測して画像再構成を行うことで、医用画像においては撮像時間を大幅に短縮することが可能です。
脳血管の画像
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左右の画像を比較しても、細かい血管の描出はほとんど変わりません。
脳MRI・MRA(通常):19分57秒 → 脳MRI・MRA(CS):17分04秒
※ルーチン脳MRI・MRA→T2W・T1W・DWI・T2*・脳血管MRA・頸動脈MRA
腰椎の画像
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腰椎MRI(通常):17分30秒 → 腰椎MRI(CS):13分19秒
※ルーチン腰椎MRI→T2W/T1W/STIR sag・B-TFE myelo/cor・T2W/T1W trs
※部位によりますが、従来撮像法より撮像時間が2~3割短くなりました。また、撮像時間を短くするだけでなく同じ撮像時間でより高精細な画像を得ることもできます。
第1血管造影室
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血管造影検査<PHILIPS PhilipsAlluraClarityFD20/20>
血管造影検査とは、カテーテル(細い管)を上肢や足の付け根の動脈から心臓を栄養する血管や肝臓・脳の血管へ挿入します。そしてそこから造影剤というX線に写る薬を使用して血流や腫瘍の分布を観察したり、血管の狭窄や閉塞を知るための検査です。最近ではインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)と呼ばれる血管内治療も多く行われています。検査・治療は、大きく分けて心臓・腹部・頭部・下肢・大血管に分類されます。最近では装置も進化し、デジタル・サブストラクション・アンギオグラフィー(DSA)では末梢の血管まで観察できるような画質を有し、特に3D画像やCTライクイメージング(CTのような断層像)もスピーディに撮影・表示できるようになり、診断や治療の補助に使用されています。
第2血管造影室
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血管造影X線診断装置
PHILIPS Azurion 7 B20/15
当院では、2022年7月にPHILIPS社製の血管造影X線診断装置 Azurion 7 B20/15を導入しました。
血管造影X線診断装置とは、血管内に造影剤という薬剤を注入し、その流れを撮影することで血管の走行や形態、分布を観察することのできる装置です。
冠動脈領域に対応したバイプレーンシステム
血管撮影装置には、撮影に必要なアームが1つあるSP(シングルプレーン)システムと、2つあるBP(バイプレーン)システムがあります。以前当院で使用していたSPの装置では、一度に1方向のみの撮影しかできませんが、BPでは一度に2方向からの撮影が可能となります。(下図参照)
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BPを用いることで、1度の造影剤注入に対して2方向から観察できるため、より少量の造影剤での検査が可能となりました。造影剤の使用量が減少することで、副作用の発生率の低下が期待されます。
様々なレイアウトが可能な大型モニター
各検査に応じて適した構成・画像が表示できる58インチカラーモニターで最大8チャンネルの同時表示が可能となっています。ユーザー自身でのレイアウト変更も可能です。
また、医師の使用する検査室内のモニターと技師が使用する操作室側のモニターはリンクしており、医師とコメディカルのコミュニケーションがとりやすく、円滑に検査を進めることができます。
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各検査領域に合わせた被ばく低減
循環器、脳外科、放射線科それぞれの領域に合わせて設定されたパラメータにより世界の臨床的な基準に対し約40~80%の線量低減がされており、被ばくによる影響をより少なくした検査を行えます。
乳房X線撮影(マンモグラフィ)
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乳房X線撮影(マンモグラフィ)<富士フィルムメディカル社製 AMULET Innovality>
2020年4月より新しい乳房X線撮影装置と乳腺画像診断ワークステーションを導入しました。
この装置は最新のデジタル式マンモグラフィ装置で、高感度のフラットパネル型ディテクタ(FPD)を搭載しており、従来より更に少ないX線量(被ばくの低減)で高精細な画像を撮影することが可能です。
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直接変換方式FPD最小画素サイズ50µmの高解像度です。
従来の装置より、高精細な画像が描出できるようになり、乳がんのサインである微小石灰化がより見やすくなりました。
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画像処理技術により、従来装置より約30%の放射線量の低減が可能になりました。
被ばく線量の大幅な低減で皆様に安全な検査を提供いたします。
乳腺画像診断ワークステーション
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乳腺画像診断ワークステーション<富士フィルムメディカル社製 AMULET BI-D>
撮影装置導入と同時に、乳腺画像診断ワークステーションも新規導入しました。
AMULETで撮影された50μm高精細画像をストレス無く高速で表示する乳腺画像診断ワークステーションです。
マンモグラフィと乳腺超音波のガイドラインに沿った所見入力テンプレートで、読影時に簡便に所見入力が可能です。
その他、複数台での同時レポート入力や、同時読影も可能となりました。
泌尿器系検査
DIP(点滴静注腎盂造影)
造影剤を血管に入れてから膀胱に貯まる過程を撮影し、腎臓・尿管・膀胱などを調べる検査です。
CG(膀胱造影)
尿道から直接造影剤を注入し、尿道の状態や前立腺の状態を観察する検査です。
RP(逆行性腎盂造影法)
尿管にカテーテルを挿入して造影剤を注入し、腎尿を採取して調べる検査です。
UG(尿道造影法)
膀胱内にカテーテルで造影剤を注入し、排尿中の状態を観察する検査です。
核医学(RI)検査 SPECT装置
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核医学(RI)検査 SPECT装置
<日立メディコ Bright View X>
ガンマ線を放出する「RI」という物質と特定の臓器に集まる薬品を結合させたものを注射または内服することにより、目的の臓器に集まる程度を観察し、臓器の機能を調べる検査です。
当院の装置は、2検出器ガンマカメラタイプで、検出器を自動に配置させ、近接で撮影することにより、高画質で短時間に検査を行うことができます。主に脳や心臓および骨の検査を行っており、臓器の機能の異常を解析することもできます。また、RI画像とCT画像を重ね合わせたフュージョン画像により、機能画像と形態画像を融合させた質の高い画像を提供できます。
放射線治療<VARIAN Clinac iX>
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放射線治療<VARIAN Clinac iX>
放射線治療は、外照射と小線源治療の二つに分けられ、当院では外照射のみの治療を行っています。
当院ではリニアックという装置を用いて、体の外から体内の病巣部に放射線を照射します。通常は1日1回、月曜日から金曜日まで週5回の治療を数週間続けて行います。治療期間は、病巣の種類、大きさや場所、治療の目的などによって異なります。
7~8週間行うこともあれば、手術中の照射のように1回のみの場合もあります。
病巣に対して正確に放射線をあてるために、専用のCT装置や治療計画用装置を用いて、最適な照射範囲を決定します。
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幅が小さいため腫瘍の形にフィットし正常な組織への影響を最小限にします。
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画像情報をもとに、治療患者さんの位置誤差を補正しながら、正確に治療を行う技術です。
診断領域のX線装置を高精度なロボットアームに搭載し、治療直前のX線撮影や透視、さらにX線CT撮影(CBCT)も行え、皮膚マークだけに頼らない正確な位置決めが可能です。
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肺・肝臓などの腫瘍は呼吸によって動くため、自由呼吸下では、照射範囲が広くなってしまいますが、息止め時に照射すれば、その範囲を狭くできます。
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病巣に対し多方向から放射線を集中させる方法です。通常の放射線治療に比較し、周囲の正常組織に当たる線量を極力減少させることが可能です。
治療用照射装置出力線量の第三者機関による測定実施証明書
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放射線治療計画用CT装置
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放射線治療計画用CT装置
〈PHILIPS Ingenuity Core〉
診断用のCT装置とは違い、患者様が寝る台が硬くなっています。これは治療を行う時と同じ状態でCT撮影を行う必要があるからです。 この64列のマルチディテクタCTによって病巣の位置を詳細に得ることができ、正確な照射計画を行うことができます。