成長に関するご相談

このページでは、身長の伸びや体重の増減に関する内容を紹介します。

【成長曲線検診】

成26年度から全国の小中学生を対象に、成長曲線を活用した学校健診が始まりました。成長曲線ってなに?という方は、母子手帳の、身長や体重を記録していく「発育曲線」と同じようなものだと思ってください。母子手帳の発育曲線と違うところは、年齢が18歳まであることです。

学校では定期的に身体測定をしていて、養護の先生たちがパソコンを使って成長曲線を作ってくれています。身長と体重が順調にバランス良く成長してくれれば良いのですが、そうでない場合には医師の出番です。
佐世保市の場合は教育委員会と医師会が協力して、基準に沿って抽出された成長曲線を、小児科専門医が集まって協議の上、二次検診や精密検診の必要性を判定して方針を各学校にお返ししています。このページを見ている方には検診で子どもさんが引っ掛かった方もいらっしゃるでしょうね。
以下、成長曲線検診でどんな問題が見つかり、私たちの病院ではどんな検査や治療が受けられるのかをご説明します。

【身長の伸びが悪い】

紹最新の身長が特に低い場合と、身長自体はそうでもなくても以前に比べて身長の伸びが悪くなっている子どもさんがこれに該当します。成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、思春期がひとより遅れているか早く終わりかけているか、など内分泌系(ホルモン)に問題が起こっている場合のほか、ある種の先天的な病気が見つかる事もあります。ただし一番多いのは、専門医が診察すると異常ではない場合です。

〈当院で可能な検査〉

内分泌一般検査、鉄・亜鉛など微量栄養素の検査、染色体検査、骨年齢、頭部MRI、腹部エコー、成長ホルモン分泌刺激試験、ゴナドトロピン分泌刺激試験。

〈当院で行われている治療〉

甲状腺ホルモンの内服治療、成長ホルモン治療(自宅での注射が必要)、その他。

成長曲線検診は万能ではありません。成長に関するご相談は、検診での指摘がなくてももちろんお引き受けいたします。身長の伸びと骨の成熟の間には密接な関係があり、ご相談は早目が良いです。なお、私たちの病院では、検診で引っかかりにくい-2.0〜-2.5SDの範囲の低身長についても検査や治療を行なっていますが、医療保険の適応にならない保険外診療(いわゆる自費診療)による成長ホルモン治療は行っていません。なお、成長ホルモン治療の対象は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、慢性腎不全、プラダー・ウィリー症候群、軟骨無形成症、SGA性低身長症です。

【身長の伸びが良すぎる】

以前に比べて身長の伸びが良すぎる子どもさんが該当します。単に発育が良いだけの他に、思春期がひとより早く始まったか、ひとの終わりかけにようやく伸び出したかの事が多いほか、稀ではありますが先天的なものを含めて重大なホルモンの病気が見つかる場合があります。

〈当院で行われる検査〉

内分泌一般検査、染色体検査、骨年齢、頭部MRI、腹部エコー、ゴナドトロピン分泌刺激試験。

〈当院で行われる治療〉

GnRHアナログによる思春期早発症の治療

思春期早発症では、思春期の急激な身長の伸びが早く始まって早く終わります。もともと小柄だった子どもさんに起こると、一時的にまわりの子供さんに成長が追いつき始めるものの、成長が早く止まるので最終的な身長がかなり低くなります。早い時期にGnRHアナログによる治療を始めれば、ある程度改善できますから、検診で引っ掛からなくても気付かれたら早めにご相談ください。なお、思春期早発症の検査・治療には、最終身長の修正のほか、早すぎる二次性徴を遅らせる目的、稀ではありますが重いホルモンの病気を見つける目的もあります。

【肥 満】

肥満が強い、あるいは以前に比べて肥満が進行している子どもさんが該当します。肥満については別のページ「子どもの肥満」をご覧になってください。

【やせ過ぎ】

以前に比べてやせが強く進行している子供さんが該当します。痩せの原因には内臓の病気と、食事量が少なすぎる場合があります。

〈当院で行われる検査〉

内臓の病気が疑われる場合には、内分泌検査ほか症状に応じて検査を選択します。

〈当院で行われる治療〉

やせに対する専門的な治療は行っていません。神経性やせ症を疑っていらっしゃる場合、同症の治療には高い専門性が必要で、当科ではお役に立てません。

【初回の診察と検査結果】

成長に関するご相談の場合は紹介状をご準備の上、電話で初回の診察(初診)をご予約ください。当日は朝食抜きでみえてください。診断に必要ですので、母子手帳と身長・体重の成長記録(保育園、幼稚園や小・中学校)を必ずご持参ください。成長・発育には食事や運動、生活習慣も大きく関わっていますから、必ず子どもさんと同居の子どもさんの育児に一番よく関わっている方(一般的にはお母さん)が一緒に見えてください。診察の際にはご両親の身長もお聞かせ願います。思春期時期のずれのご相談の場合には、ご両親の思春期の時期が周りの方と比べてどうだったかも重要な情報になります。
受付が済んだら身体計測、問診、診察と検査があります。骨年齢は手のレントゲンで検査します。内分泌機能の検査には当日には結果がわからないものが多くあり、検査結果は後日また聞きに来ていただく事が多いです。検査結果の説明は保護者さんだけ来ていただければ済む場合が多いです。

【成長ホルモンの検査】

成長ホルモン(GH)は夜間睡眠中に下垂体から分泌され、血中に長くとどまるものではないので単純な採血では成長ホルモンの分泌具合を見ることはできません。その代わりに外来ではIGF-1と言って成長ホルモンが変化してできるホルモンを調べて大まかな傾向をつかみ、精密検査には「成長ホルモン分泌刺激試験」を入院で行っています。

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