ここ数年、有床診療所は数を減らし、代わってビルクリを中心とする無床診療所の開業数が激増しています。たくさんできれば、夢破れて閉院する数も増えています(図参照)。 自由開業制が堅持されると、地元医師会にも入らないライバルが数多くお近くに出現してきます。医師不足が叫ばれ、医学部定員が増員されると今後安泰である診療所はかなり限られた数になることでしょう。
国の政策である在宅医療推進に必要不可欠であるはずなのに、まだまだ極少数に止まっています。なぜか?それは大学の教育課程の中で家庭医を養成するプログラムが皆無に近いからです。現場で求められているのに、そして高齢化がどんどん進むのに供給されない家庭医に上記のような競合の心配は当分ありません。
得意な分野で開業したはずなのに、いつの間にか来院する患者さんは風邪ひきや軽症の患者さんばかり。これではライバルとの差もつけられない。開業の先生方の多くが自分の実力では専門領域の患者さんを引き寄せられない、専門特化できないと嘆いておられるそうです。これは専門領域のスキルアップが常に求められるのに、仕事や家庭の事情でお一人ではそれができにくいことに起因いたします。
チーム医療を基本としておりますので、スキルは日々の活動の中で充填されます。在宅医療は医師一人で成り立つわけではなく、急性期病院の総合診療部、療養病床、老健など多くの先生方、訪問看護の担当者、在宅介護のスタッフ、等々いろいろな職種とのチーム医療で支えられています。当然、日進月歩、自然とスキルの習得が可能です。
多くの大学病院で総合診療部がつくられています。しかし、そこを退局したら即家庭医として活躍できる教育をなされている教室は極わずかです。何故なら、大学病院には家庭医の対象となる高齢者特有の問題を主訴とした患者さんは集まらないからです。
これに対し、我々の療養病棟や介護施設では嚥下障害や便秘、排尿障害で苦しむお年寄り、鬱状態から食事が入らない高齢者、認知症で悩む方々が多く見られます。癌の疼痛コントロール目的で入院中の患者さんもいます。これらの患者さんは、将来家庭医として在宅で診てほしい患者さんそのものです。我々の施設では早期であれば認知症や廃用症候群に対して有効な改善手段を実践していますし、緩和ケアやそれ以外の疾患の対処方法を含めて、まずは佐世保中央病院総合診療部にご勤務頂き、教育プログラムとしていろいろな施設でいろいろな病態をご経験頂くことから始まると考えています。一定期間の研修の後、在宅診療支援診療所としての開業を責任を持って支援いたします。
- 佐世保中央病院では各科計約50人の常勤医がおり、一人では解決できない諸問題も専門医のプロたちが相談に乗ってくれます。
褥瘡の治療など実践経験が必要なケースは車で15分の燿光リハビリテーション病院や法人内の介護施設に出向いて、診断と治療を自ら褥瘡治療の実践コースとして経験することが出来ます。
呼吸器科、消化器科、泌尿器科、神経内科の専門医のアドバイスを受けながら総合臨床医としてすべてを広く診れるようになれます。 - 福岡市で平成14年から現在まで21回にわたって開催されている実践老年病研究会で講師をされた先生を福岡の白十字病院に招き、佐世保中央病院、燿光リハビリテーション病院の3病院をテレビ会議システムで結び、高齢者特有の病態につき実例から学ぶ研究会を立ち上げる予定です(平成21年初秋より)。
- 将来、家庭医として活躍するには、地域の中核の急性期病院の総合診療部、療養病床をもつ病院、地域の老人保健施設、老人福祉施設、訪問看護との連携が欠かせません。まさに、白十字会は佐世保市で必要なこれらの施設を自前で展開しています。電子カルテシステムで結ばれた各施設間の正確な情報管理の中で密な連携を学んでいただけます。
- 総合診療医
- H医師
- 九州大学医学部卒
- 九州大学卒業後、福岡県内の病院で一般内科医としてで約3年間勤めました。その後、佐世保市内の病院で消化器内視鏡専門医として12年間勤務してきました。
- 以前の職場での内視鏡専門医という仕事はどれだけの患者数を診たかということが重視されました。その環境で10年以上働き、医師としてのやりがいなど基本を感じました。私がやりたかったのは内視鏡のノルマではなく、患者様とコミュニケーションをとる医療です。つまり診断力を高める仕事に力を入れたいと思いました。
- 内科学、特に診断学、そして家庭医としてのprimary careを主体として行っています。ただ私が白十字会に来た時は、総合診療としての窓口はあったのですがまだ作ったばかりで機能していませんでした。現在は、ゲートキーパー的な役割として、1日の外来で2~3人の紹介患者様を診ております。その後各専門医に紹介し、その患者様を治療された場合は、専門医より口頭でフィードバックをもらっています。
- 専門メイン業務のときより患者様との接し方が変わりました。今までは、専門医として患者様1人に対し3分くらいしか時間をかけれませんでしたが、総合診療では、1人約30分ぐらい時間をかけた診療ができます。また、患者様が抱えている困難な病気と向き合い、問題の分析や解決方法の提示を成し遂げた時には、非常にやりがいを感じます。少しは、患者様中心の考え方ができるようになり、自分は医師なんだと思え、やりがいを感じます。
- 一概にはいえませんが、大学や医師によって総合診療医の概念の捉え方がバラバラだということが大きな要因だと思います。施設毎に総合診療の分野をきっちりと打ち出し、総合診療医の明確な姿を提示しなければ、医師も何を行っていいのか分かりません。総合診療医として、何ができるか、1人で出来ること、2人、3人で出来ることを打ちださなければ、結局、何でも屋に陥るのではないかという不安があると思います。
- 総合診療医も一つの専門分野と捉え、総合診療医として良かったと思えるチーム医療を実践していきながら在宅医療、緩和医療により力をいれていきたいと思います。
- 総合診療医として経験を積む事は開業時や転職時に有利なのは明らかです。まずは当院の各分野の専門医や設備等の働きやすい環境がありますので、白十字会で総合診療医として働いてみませんか。
※またその他に、「医療秘書」、「説明支援ナース」、「看護外来」による、医師業務の軽減の施策を行っております。
◆募集科目 | 内科(総合診療部) |
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◆給与・諸手当 | 当法人規定による ※経験年数を考慮 |
◆勤務時間・当直 | 平日8:30~17:30 当直月3回 |
◆休 日 | 4週8休、冬期休暇5日、夏期休暇2日 |
◆勤務場所 | 長崎県(佐世保中央病院) |