在宅医養成の試み(その4)

訪問診療を実際にやっておられる先生方に在宅医療の現状をお聞きすると、必ずしも全てがうまくいってはいないようでした。自分はこの分野は知識に乏しく対応できないとか、どこでサービスの申し込みをしていいのか分からない、24時間365日対応可能な体力的な自信がなく在宅療養支援診療所の看板は出せないという悩みでした。2~3人のDrで連携して在宅のニーズに対応しようとされている先生が多いのですが、Drだけではすべての分野を365日カバーできません。訪問看護ステーションやケアマネージャー、訪問歯科、訪問薬剤師そして様々な行政サービスとの多職種協働が不可欠なのですが、それをどう組み立てるのか教えてくれるところがないのが実情です。医学部、大学病院にも、勿論国立や自治体病院にもこれらを系統立てて教育してくれるところは見当たりません。これでは訪問診療の回数や在宅医療費が伸びないのも当然のことと思われます。
 私はこのブログで書いて参りましたように、療養病棟の患者さんに光が当たるように何とか慢性期医療のスキルを上げたい、そして何とか在宅復帰、社会復帰をさせてあげられる患者さんを増やしたいと思い悩んで参りました。そんな折、ある研究会で、北関東で18年前から在宅医療を積極的に展開しておられる先生にお目にかかることが出来ました。まさに、在宅医療のパイオニア的な存在の先生です。

動画をUPしました。是非一度ご覧ください。

http://www.tominaga-message.com/seminar.html

在宅医養成の試み(その3)

現在わが国の高齢化率は20数%ですが、それに伴う高齢者医療への拠出金が不足し、健保も国も財政的に破綻寸前です。今後わが国は今まで経験したことのない40%という未曽有の高齢化社会へ向かって突っ走ります。そうなると現在約110万人の年間死亡者数は、ピークといわれる2040年頃には166万人が亡くなると推定されています。現在ですら人口当たり欧米の2倍の病床数をもつわが国が、さらに増床して増加する死亡者を病院で引き受けるわけにはいきません。今後、癌を患う高齢者の絶対数が増えていくであろうという予測の中、さまざまな意識調査が行われ、「最期は家族に看取られながら自宅で死にたい」と自宅療養を希望される患者さんが増えています。加齢に伴い生活習慣病や脳血管障害を患い、通院困難になった高齢者も住み慣れた自宅での療養を希望される方が増えてきました。自分の家でできる限り自立した生活をし、その人らしく老い、生を全うして自宅で死んでいく。その現場を支えるために、健康な医療スタッフがお邪魔をする。そのニーズに応えるために2006年に在宅療養支援診療所が制度設計されました。ご承知のように在宅での看取りに1万点など魅力的な報酬が設定されています。届け出数はすぐに1万を超えましたが、現在実働している数は数千にすぎないと推定されています。在宅療養支援診療所が在宅で看取ったのは年間死亡者110万人のうちわずか2万7千人(2.5%)ということです。病院では80%を超える方が亡くなっているのに、わずかにこの数字にとどまっているのはどうしてでしょうか。訪問診療の回数や実際の在宅医療費もわずかしか増加していないのは何故なのでしょうか。

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