「日本海軍はなぜ過ったか 海軍反省会四百時間の証言より」が教えてくれること(その25 次世代に伝えたいこと)

歴史というものは要するに、年表とかを覚えることではないんですよ。歴史というものは人間がつくるもんですから、つまり、人間を知るため、言い方はおかしいんですが、人間をよくわかるためには、歴史が一番いいんです。私はよく言うんですが、つまり、歴史をやるということは人間学だ、と。歴史学ではなく人間学だと思って見れば、人間というものはいかに、こういう危機のときに周章狼狽して判断を間違うか、自分の命が惜しいばかりに、いかに卑劣なことをするか、そういうことが歴史にたくさん事例があるわけです。それは、昭和史だけでなく、歴史が全部そうなんです。それを学ぶ、それを知るということは、ものすごく日本の将来のためにいいことだと思うんです。とくに昭和史を学ぶことは、いまの日本人をいっそうよく知ることになります。私もいい歳になりましたけど、まだわからないことがたくさんあるんですよ。だから、戸高さんみたいな若い人に託さなければならないことが、ずいぶんあるかと思うんです。やはり、歴史は連続しているものだし、そのなかにとてもよく人間の本質が出ているものですから、多くの人は知ったほうがいいと思います。そのためにも、イデオロギーにとらわれないできるだけ公平な歴史、公正な歴史というものを残しておいたほうがいいな、と思っていまもやっています(半藤一利氏)。