在宅医養成の試み(その3)

現在わが国の高齢化率は20数%ですが、それに伴う高齢者医療への拠出金が不足し、健保も国も財政的に破綻寸前です。今後わが国は今まで経験したことのない40%という未曽有の高齢化社会へ向かって突っ走ります。そうなると現在約110万人の年間死亡者数は、ピークといわれる2040年頃には166万人が亡くなると推定されています。現在ですら人口当たり欧米の2倍の病床数をもつわが国が、さらに増床して増加する死亡者を病院で引き受けるわけにはいきません。今後、癌を患う高齢者の絶対数が増えていくであろうという予測の中、さまざまな意識調査が行われ、「最期は家族に看取られながら自宅で死にたい」と自宅療養を希望される患者さんが増えています。加齢に伴い生活習慣病や脳血管障害を患い、通院困難になった高齢者も住み慣れた自宅での療養を希望される方が増えてきました。自分の家でできる限り自立した生活をし、その人らしく老い、生を全うして自宅で死んでいく。その現場を支えるために、健康な医療スタッフがお邪魔をする。そのニーズに応えるために2006年に在宅療養支援診療所が制度設計されました。ご承知のように在宅での看取りに1万点など魅力的な報酬が設定されています。届け出数はすぐに1万を超えましたが、現在実働している数は数千にすぎないと推定されています。在宅療養支援診療所が在宅で看取ったのは年間死亡者110万人のうちわずか2万7千人(2.5%)ということです。病院では80%を超える方が亡くなっているのに、わずかにこの数字にとどまっているのはどうしてでしょうか。訪問診療の回数や実際の在宅医療費もわずかしか増加していないのは何故なのでしょうか。

動画をUPしました。是非一度ご覧ください。 

http://www.tominaga-message.com/seminar.html