在宅医養成の試み(その9)

わたしどもの病院としても在宅医養成の必要性を感じておりました。DPCではますます在院日数の短縮が求められ、回復期リハ病棟も療養日数制限があります。ともに在宅医を司令塔とする訪問チームの存在があれば患者さんは安心して自宅復帰ができます。最後の療養場所として「自宅で最期を迎えたい」末期癌患者さんの希望を叶え、家族と過ごす時間の確保や病室では出来ない趣味や日常生活の楽しみを可能にするには在宅医との密なネットワークが必要になります。しかし、前述のように在宅医の活躍の機会は増えていませんし、看取りの数の増加も見られません。それならば、法人として在宅医を養成し、地域で開業していただき、病院と深い信頼関係で結ばれる地域連携を目指したいと考えるに至りました。
そこで今回、燿光リハビリテーション病院に3名、白十字病院に2名の在宅医養成枠を設けました。お一人2年間の期限で働きながら、多職種協働を学べるコースです。そのコースの特徴は、
①前述の勇美記念財団による「在宅医療テキスト」を用い、講師による解説と抄読を主体とする週一回程度の定期的な座学、
②褥瘡やPEGの交換回診への参加、栄養処方の実施などの実習、
③在宅医療に必要な多職種協働を学ぶための協働
これらを無理なくプログラムして、基本的に回復期リハビリ病棟でご勤務頂きながら開業後の自分のために必要な知識を学びとっていただくものです。
③は佐世保に本拠を置く法人としては、佐世保での行動を見ていただく必要がありますので燿光リハビリテーション病院でのご勤務のほうが利便性は高いと思います。
ただ、一つだけ懸念がありました。もし私だったらそれらの知識を習得したとしても、すんなりと在宅の道へ入りこめるだろうかと。在宅で迎えてくれる患者さんや家族にどのような声かけをすればうまく診療が進むのでしょうか。

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     ケアマネージャー         訪問看護ステーションスタッフ

在宅医養成の試み(その8)

   多職種協働を学ぶには訪問看護ステーション、緩和ケアチーム、在宅介護チーム、訪問リハビリチーム、そしてそれらのチームを統制する在宅医、補佐する多くのケアマネージャーを配し、運営している法人組織にて、それぞれのカンファランスに参加し、時に行動を共にすることが、その理解への早道です。
  われわれ白十字会は佐世保地区においてこれらの在宅チームを運営しています。7名の訪問看護師は主治医の指示のもと、血圧や血糖値、PEG、ストーマ、褥瘡、在宅酸素等の医療的管理を行っています。緩和ケアチームは疼痛コントロール、リンパマッサージ等のきめ細やかなサービスを主治医との緊密な報告、連携のもと24時間体制で実施しています。                   
  身体上、家屋立地上の問題等で病院やデイケアに通ってのリハビリが困難な脳血管疾患後や廃用症候群の要介護3~5の患者さんには、訪問リハビリチームが実際の生活の中で使用している椅子やベッド、トイレ、廊下等を活用してより日常性動作に即した効果的なリハビリを目指して取り組んでいます。また、生活援助や身体的介護を在宅にて支援する訪問介護チーム、そして寝たきりや車椅子等の状態の在宅患者さんをご自宅に訪問し、移動入浴槽を用い安全で快適な入浴を実現し、心身の活性化と身体面の清潔保持を図る訪問入浴サービスチームがそれぞれ活動しています。
  そしてこれらのサービスを効果的、効率的にプランニングし、利用者、家族及び主治医に報告、連絡調整を行う大切な役割を担っているのがケアマネージャーを有する居宅介護支援事業所です。我々法人内の4箇所の事業所にて現在32名のケアマネージャーが在宅生活をサポートしています。
在宅サービスは相互理解に基づいたチームケアが最も重要です。是非、その仕組みを体験し、理解して頂きたいと考えています。

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 認定看護師による在宅緩和ケア                 在宅酸素療法