最近の日本、何かおかしくないですか?(その19)

 ある日の朝刊に歯科の受診抑制が顕著であるとのコラムが載っていました。国民の過半数が歯科受診時における医療費の支払額が高すぎると感じているそうです。そして、保険適応の範囲の拡大を望んでいるとありました。歯科を受診した場合、保険適応の範囲が限られているために、支払いが心配でつい受診を控えてしまう人が多いそうです。う歯(虫歯)や歯周病は自然治癒力が弱いために、放っておくと病状が進行し、大きな負担となってしまうケースが少なからずみられると書いてありました。
 国立社会保障・人口問題研究所の阿部 彩部長は最近、雑誌にこう報告されています。
「国民皆保険が達成されてから、今年で50年となる。すべての国民が医療サービスを受けられるようにという願いの下に設計された国民健康保険制度(以下、国保)であるが、成立から半世紀たった今、皮肉にも国民皆保険は瀕死の危機にある。国民の約4割は国保に加入しているが、その保険料の滞納率は20.8%(2009年6月)。なんと加入している5世帯に約1世帯が保険料を払えない状況にあるのである。滞納を続けると交付される被保険者資格証明書(実質的な窓口負担が100%となる)の交付数は、約31万世帯にもなる。保険証さえも持てない人が増えているのである。問題は、保険証を持てない人のみではない。たとえ、保険証を持っていたとしても、自己負担が払えないという理由で受診を控える可能性は十分に考えられる。-後略-」と、負担の格差是正を主張されています。
 本年3月3日の朝刊に受診遅れのために、命を落とす人が増加しているとの報道がありました。全日本民主医療機関連合会の調べでは、前年の47人が2010年には71人が受診遅れのために死亡したとしています。癌や糖尿病で亡くなった人が多く、高額な治療費を心配して病院に行くのをためらったためと分析しています。もはや国民皆保険制度は崩壊しているようです。