「消費税を社会保障財源にすることについて議論を開始しよう」と選挙の争点のひとつに挙げた与党民主党が大敗しました。「10か月前まで消費税は上げないと言っておきながら何だ」「あまりにも唐突だ」という声に政権がぐらついています。振り返ってみると消費税率3%の導入時、そして5%への増税時、その度に内閣は崩壊して参りました。自民党のみならず民主党も与党政権党としてこの大型間接税率のアップには総選挙での大敗、衆参ねじれ現象を覚悟しなければならない状況です。
本当に消費税は一部の政党が声高に叫ぶほど低所得者の生活を破壊するものなのでしょうか?わが国の消費税は現行5%とヨーロッパの国々だけではなく諸外国と比べて低い税率です。高負担・高福祉の典型であるスウェーデンやデンマークのそれは25%と比較にならないほど高率ですが、そこでは所得の低い層の生活は本当に破壊されているのでしょうか?
日本は社会保障分野において低い社会保障給付が続いて参りました。税と社会保障負担が低ければ、それだけ給付も低く制限され、医療や介護を必要とするとき高い利用者負担を余儀なくされます。医療は今後とてつもない速さで進歩し、遺伝子治療、オーダーメイド医療の時代を迎えることでしょう。底抜け現象で格差が拡大した現在、支払い能力の差で選択に格差が出てきて良いのでしょうか。
北欧ではほとんどの国の大学の授業料は一部を除いて無料だと聞きました。消費税など皆で広く薄く負担するのか、授業料という形で利用する学生(を持つ親)が負担するのか、二つに一つです。「進学できないのは格差のせい」というのなら、食糧など生活必需品の税率を調整して中負担への議論に参加するべきではないでしょうか。
議会制民主主義が始まって百数十年、もういい加減に、無責任な政党の誘導に流されず、国民目線できちんとした議論が出来るような成熟社会にする国家年齢にさしかかっているのではないでしょうか。