お勉強はもう苦痛ではないですか? -慢性期医療へのお誘い- (終回)

出ていくお金は高齢化に伴って毎年増え、入ってくるお金は少子化でどんどん少なくなっていく。税収はバブル期に約60兆円あったものが現在約45兆円、この経済不況で間もなく40兆円を下回るのではないかとみられています。老人国家に加速を続けている我が国では徐々に社会保障は縮小せざるを得なくなり、受給者も不満、納める若者も不満、皆が自分のことしか考えないようになるのでしょうか。社会保障制度の限界を迎える日も近いと思います。
しかし、皆さん、わが国がここでどこまで踏み止まれるかを世界の国々が注目しています。国家として一番多い支出である社会保障費、なかでも増え続ける医療費をどうコントロールするか。限りある医療財源をどう有効に配分するか、限りある医療資源をどう使って良質な医療・介護を提供するか、何を削りどこに集約投下するか、これを国家的視野で論じ、主張し、成果を挙げることが我々の使命ではないのでしょうか。それが医師という偏差値の高い頭脳集団に求められていることではないでしょうか。
慢性期の医療をもっとレベルの高いものにしようという趣旨で書いてきたこのコラムもあちこち寄り道をして12回目となりました。聖域と言われてきた医療界には多くの無駄と無理があります。医療の崩壊を人のせいにしないで、勤務医としての自分の人生を再度考えてみませんか。