当法人理事長富永雅也のブログが長崎新聞増刊号にコラム掲載となりました。ぜひご覧ください。
病気を進行させない医療⑤
2015年11月15日放送のNHKスペシャル「認知症革命第2回『最後まで、その人らしく』」では、市民が自発的に活動する静岡県富士宮市の取り組みが紹介されました。
市民運動のきっかけになったのは、ある若年性の認知症患者さん(男性)が記銘力障害により会社を退職になった後、市役所に「自分はこれまでと同じように誰かの役に立ちたい」と相談に行ったことでした。
この患者さんの真意を聞いた市の職員は、「これは市民の協力を得るしかない」と判断し、この患者さんに地区や学校の集まりに出向いて直接気持ちを伝えてもらいました。当時は異例のことでした。
「認知症の人だから何もできない」と思っていた人々は「世の中とつながっていたい」というこの患者さんの思いを感じ取り、「普通の人ね」「仲間に加わらないか」と卓球サークルや富士登山に誘いました。
この活動を報道で知った同市の認知症患者さんは自宅に閉じこもることをやめ、認知症であることを自ら明かし、その思いを語る人が続出しました。
助けを求められたら市民も動きます。サポートしようと寄り合いサロンや見守り活動が生まれ、認知症サポーターは急増しました。人口約13万人の街に約1割のサポーターが生まれ、約4千人の認知症の方が自分ではできないことをサポートしてもらいながら自宅で生活を続けています。
もはやサポーターではなく、パートナーの関係です。
白十字会で実施している「病気を悪化させない」医療の2つの取り組みをご紹介します。
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