当法人理事長富永雅也のブログが長崎新聞増刊号にコラム掲載となりました。ぜひご覧ください。
病気を進行させない医療⑥
富士宮市にできることは佐世保市にもできるはずです。富士宮市の活動の発端になったのは、若年性認知症の患者さんがご自身の思いを市民に語ったことでした。
(前回掲載記事 病気を進行させない医療⑤「認知症の人を市民が支える」 )
そのころ私は意外にも身近な白十字会佐世保中央病院の認知症疾患医療センターで、認知症患者さんを支えるボランティア活動をしていただいている53歳の若年性認知症の方がいらっしゃることを知りました。
白十字会では「社会とつながっていたい」という彼の思いを「茶話会・展示会として実現させる場所」として、白十字ビルの一室を提供してきました。彼はさらにわれわれ医師の研修会でも思いを語ってくれました。そのお返しにと、白十字会が主催する「ノルディック・ウォーキング」体験会に招待し、市内の商店街でウォーキングを一緒に楽しみました。
たとえ認知症になっても、住み慣れた街で、出来ないことのみ手助けをいただきながら、社会とつながりを切らずに生活していけることこそ、認知症の増悪を予防できる有力な方法のひとつであると思われます。
市民が自発的に「仲間に加わらないか」と認知症の方を誘い、パートナーの関係を構築している富士宮市に負けないよう、佐世保市民から多くの誘いの声掛けをいただければ幸いです。
また、富士宮市の認知症の方の多くが自宅に閉じこもることをやめ、認知症であることを自ら明かし、その思いを語るきっかけとなったのは、卓球や登山を市民と共に楽しんでいる若年性認知症の方を報道した紙面や映像でした。今後、より多くの市民の皆さまの声掛けが得られ、社会参加を楽しんでいるその様子を多くの報道機関が取り上げていただくことがこの運動を成功させる鍵になると考えられ、マスコミの効果に大いに期待するものです。
認知症社会を迎えるにあたり、認知症や認知症予備軍の人を、家族だけでなく地域の人が一緒になって支援することの必要性が叫ばれています。静岡県富士宮市で「認知症の人が過ごしやすい街づくり」に取り組んでいる稲垣康次さんに、市民がどのように行動すべきか、そのお手本となる活動について講演をいただきます。ぜひ、足をお運びください。
白十字会で実施している「病気を悪化させない」医療の2つの取り組みをご紹介します。